「家の顔」とも言われる玄関。
毎日通る場所だからこそ、美しく心地よい空間にしたいと思いませんか?
玄関に季節の花を少し飾るだけで、空間の印象は驚くほど華やぎ、訪れる人にも、そして自分自身にも、心温まるおもてなしの気持ちを伝えることができます。
この記事では、フラワーコーディネーターの視点から、初心者の方でも簡単に始められる季節の花を使った玄関の飾り方を徹底解説します。
花の選び方からおしゃれに見せるコツ、長持ちさせる方法まで、具体的で実践的なアイデアを詰め込みました。
さあ、あなたも玄関から始まる「花のある暮らし」を始めてみませんか?
なぜ玄関に花を飾るの?心と空間を豊かにする5つの効果
玄関に花を飾ることには、見た目の美しさ以外にもたくさんのメリットがあります。
花がもたらすポジティブな効果を知れば、きっとあなたも今すぐ始めたくなるはずです。
効果1:最高の「おもてなし」を演出
玄関に美しい花が飾られていると、訪れたゲストは「歓迎されている」と感じ、温かい気持ちになります。
言葉にしなくても伝わる、さりげない心遣い。それが最高の「おもてなし」となり、あなたと家の印象をより素敵なものにしてくれるでしょう。
効果2:家の第一印象が格段にアップ
玄関はその家の第一印象を決める重要な場所です。
活き活きとした花が飾られているだけで、玄関全体が明るく、手入れの行き届いた丁寧な暮らしのイメージを与えます。
靴や物が散らかりがちな玄関も、花を飾ることを意識すれば自然と整理整頓され、クリーンな空間を保つことにも繋がります。
効果3:季節の移ろいを身近に感じる暮らし
旬の花を飾ることで、家にいながらにして四季の移ろいを感じることができます。
春の訪れを告げるチューリップ、夏の日差しを思わせるヒマワリ、秋の深まりを感じさせるコスモス。季節ごとの花は、慌ただしい日常に彩りと潤いを与えてくれます。
効果4:運気アップも期待できる?風水から見た花の力
風水において、玄関はすべての「気」の入り口とされ、非常に重要な場所と考えられています。
生花のような生命力のあるものを置くことで、良い運気を呼び込み、家全体に幸運をもたらす効果が期待できると言われています。
玄関の方角に合った色の花を選ぶことで、さらに運気を高めることができるでしょう。
効果5:自分自身の心を癒し、気分を上げる効果
花の美しさや香りは、私たちの心を癒し、リラックスさせる効果があることが科学的にも知られています。
一日の始まりに玄関で花を見て元気をもらったり、帰宅時に出迎えてくれる花に癒されたり。花は、そこに住む人の心をも豊かにしてくれる存在なのです。
【春夏秋冬】玄関を彩る季節のおすすめ花材カレンダー
どの季節にどんな花を飾れば良いか迷ってしまう方のために、四季折々のおすすめの花をご紹介します。
花屋さんで「旬の花」を尋ねてみるのも楽しいですよ。
春(3月~5月):新しい始まりを告げる生命力あふれる花々
長く厳しい冬が終わり、生命が芽吹く春。
パステルカラーの優しい色合いや、生命力に満ちた明るい色の花々が玄関を彩ります。
- チューリップ: 春の代表格。豊富な色と形で、一輪でも複数でも様になります。茎がしなやかなので、動きのある表情を楽しめます。
- スイートピー: 甘い香りが特徴で、フリルのような花びらが可憐な印象を与えます。玄関を開けるたびにふわりと香りが広がり、春の訪れを感じさせてくれます。
- ミモザ: 鮮やかな黄色い小花がポンポンのように集まって咲く姿は、見ているだけで元気をもらえます。リースやスワッグにしても長く楽しめます。
春の飾り方のポイント
桜や桃、雪柳といった「枝もの」を取り入れるのもおすすめです。空間に高さと奥行きが生まれ、より本格的なディスプレイになります。
夏(6月~8月):涼やかで清々しい印象を与える花々
日差しが強くなり、暑さが厳しくなる夏。
涼しげな色合いの花や、トロピカルな雰囲気の花を選ぶと、視覚的に涼やかさを演出できます。
- アジサイ: 梅雨の時期を彩る代表的な花。一輪でもボリュームがあり、涼しげな色合いは蒸し暑い季節に清涼感を与えてくれます。比較的水持ちが良いのも嬉しいポイントです。
- ヒマワリ: 夏の太陽のような明るい存在感で、玄関を一気に元気な雰囲気にしてくれます。小ぶりな品種を選べば、飾りやすいでしょう。
- トルコギキョウ: レースのような繊細な花びらが幾重にも重なり、エレガントな印象。白や紫、グリーン系を選ぶと、より涼しげな空間になります。暑さに強く、夏場でも長持ちしやすい花です。
夏の飾り方のポイント
ガラス製の透明な花瓶を使うと、水のきらめきが加わり、より涼しげな印象になります。モンステラなどの大きな葉物を一緒に飾るのもおすすめです。
秋(9月~11月):深みのある色合いで実りの季節を楽しむ花々
暑さが和らぎ、過ごしやすくなる秋。
こっくりとした深みのある色や、温かみのあるオレンジ、ブラウン系の花が似合います。
- コスモス: 秋の風にそよぐ姿が美しい、秋を代表する花です。繊細で可憐な雰囲気を演出できます。
- ケイトウ: ニワトリのトサカのようなユニークな形が特徴。ベルベットのような質感が秋らしく、ドライフラワーにも向いています。
- リンドウ: 鮮やかな青や紫が美しい花。すっとした立ち姿が凛とした印象を与え、和風の玄関にもよく合います。
- 実もの: サンキライや野ばらの実、カボチャなどを一緒に飾ると、ぐっと秋らしい雰囲気に。収穫の季節ならではのディスプレイを楽しめます。
秋の飾り方のポイント
ススキやパンパスグラスといった穂ものを加えると、季節感が一層高まります。陶器や木製の花器と合わせると、温かみのある空間になります。
冬(12月~2月):凛とした空気の中に温かみを添える花々
花が少なくなる冬の季節ですが、クリスマスやお正月など、イベントに合わせた飾り付けが楽しい時期です。
凛とした空気の中に、温かみや華やかさをプラスする花を選びましょう。
- ポインセチア: クリスマスの時期の定番。鮮やかな赤と緑のコントラストが、玄関を華やかに彩ります。寒さに弱いので、室内玄関向きです。
- クリスマスローズ: 冬の貴婦人とも呼ばれる、うつむき加減に咲く姿が奥ゆかしい花。寒さに強く、日陰でも育ちやすいので玄関飾りにぴったりです。
- ヒヤシンス: 甘く強い香りが魅力。水耕栽培で根の成長から楽しむのもおすすめです。
- 枝もの: 松や千両、南天などはお正月飾りに欠かせません。赤い実のついた枝ものを飾るだけでも、冬らしい温かみのある雰囲気になります。
冬の飾り方のポイント
ゴールドやシルバーの小物、リボンなどを加えると、クリスマスらしい華やかな演出ができます。松ぼっくりやコットンフラワーなども冬らしいアイテムです。
初心者でも簡単!玄関をおしゃれに見せる飾り方7つのコツ
花の選び方がわかったら、次はおしゃれに見せる飾り方のコツです。
いくつかのポイントを押さえるだけで、初心者でもぐっと洗練された印象に仕上げることができます。
コツ1:飾る場所を決める(靴箱の上、ニッチ、壁掛け)
まずは、どこに花を飾るかを決めましょう。
玄関のスペースに合わせて、最適な場所を選びます。
- 靴箱の上・コンソールテーブル: 最も飾りやすい定番のスペース。季節の雑貨や写真立てなどと一緒に飾ることで、自分らしいコーナーを作れます。
- ニッチ(壁のくぼみ): 小さな一輪挿しや小ぶりなアレンジメントがぴったり。スポットライトを当てると、まるでギャラリーのような空間になります。
- 壁掛け: スペースが限られている玄関におすすめ。リースやスワッグ(花束を逆さに吊るした飾り)なら、場所を取らずに華やかさをプラスできます。
- 床に直接置く: 大きめの枝ものや、安定感のある鉢植えなどを飾るのに適しています。玄関ドアの横などに置くと、シンボルツリーのような存在感が出ます。
コツ2:「一輪挿し」から気軽にスタート
「花を飾るのはハードルが高い…」と感じる方は、まず「一輪挿し」から始めてみましょう。
お気に入りの花を一輪だけ選んで、シンプルな花瓶に挿す。たったそれだけで、空間は生き生きと輝き始めます。
少ない本数なので管理も楽ですし、花そのものの美しさをじっくりと楽しむことができます。
季節ごとに一輪の花を選ぶ習慣は、きっとあなたの日常を豊かにしてくれるはずです。
コツ3:色の組み合わせは「3色以内」でまとめる
たくさんの色を使うと、まとまりがなく雑多な印象になりがちです。
おしゃれに見せるには、花の色数を「3色以内」に絞るのがポイントです。
例えば、ピンク、薄いピンク、白といったように同系色の濃淡(グラデーション)でまとめると、統一感が出て優しく上品な印象に仕上がります。これは初心者でも失敗しにくい組み合わせです。
また、白やグリーンをベースに、赤や黄色といった反対色(補色)を少しだけ加えるのもテクニックの一つです。空間が引き締まり、アクセントの効いたおしゃれな印象になります。例えば、白い花のブーケに赤い実ものを少し加えるだけで、ぐっと印象的になります。
コツ4:グリーンをプラスしてこなれ感を出す
花だけを飾るよりも、ユーカリやアイビーなどの「グリーン(葉もの)」を一緒に加えるのがおすすめです。
グリーンが入ることで、花と花の間に空間が生まれ、ナチュラルでこなれた雰囲気になります。
また、ブーケ全体のかさ増しにもなり、少ない花でもボリューム感を出すことができます。
花屋さんで花を買うときは、「何か合わせやすいグリーンはありますか?」と聞いてみましょう。
コツ5:花器にこだわる(ガラス、陶器、カゴ、意外なアイテム)
花を生ける「花器」は、花の魅力を引き出す重要なアイテムです。
どんな花器を選ぶかで、全体の印象が大きく変わります。
- ガラス製: 透明でどんな花にも合わせやすく、涼しげな印象を与えます。
- 陶器製: 温かみがあり、ナチュラルな雰囲気や和風のインテリアによく合います。
- カゴ: ナチュラルで可愛らしい雰囲気に。中にジャムの瓶などを入れて花を生けます。
- 意外なアイテム: ジャムの空き瓶、マグカップ、おしゃれな水差しなども素敵な花器になります。身の回りにあるものを活用してみるのも楽しいでしょう。
コツ6:高低差を意識して立体感を演出
花を飾るときは、高低差を出すことを意識しましょう。
すべての花を同じ長さに切りそろえるのではなく、長短をつけて生けることで、アレンジに動きと奥行きが生まれます。
背の高い花を後ろに、低い花を前に配置するのが基本です。
本や小さな台を使って花器の高さを変えてみるのも、簡単に立体感を出すテクニックです。
コツ7:リースやスワッグで壁面を有効活用
床や棚に置くスペースがない場合は、壁面を飾りましょう。
リースやスワッグは、壁にかけるだけで空間が華やかになる便利なアイテムです。
生花で作ったものをドライになる過程まで楽しんだり、プリザーブドフラワーやアーティフィシャルフラワー(造花)のものを選べば、お手入れ不要で長く飾ることができます。
花をより長く楽しむためのお手入れ方法と裏ワザ
せっかく飾った花は、少しでも長く楽しみたいもの。
ちょっとしたお手入れのコツを知っているだけで、花の持ちは格段に良くなります。
基本の水やりと水替えの頻度
花瓶の水は、バクテリアが繁殖しやすいため、毎日取り替えるのが理想です。
特に夏場は水が腐りやすいので、こまめな水替えを心がけましょう。
水替えの際には、花瓶の内側もきれいに洗うと、バクテリアの繁殖を抑えることができます。
ちょっとした裏ワザとして、水替えの際に食器用洗剤を1滴たらしたり、ごく少量のキッチン用漂白剤を加えたりすると、水の雑菌繁殖を抑える効果が期待できます。
ただし、入れすぎは花を傷める原因になるので注意が必要です。
長持ちの秘訣「切り戻し」と「水切り」
水替えのたびに、茎の先端を少し切る「切り戻し」を行いましょう。
水に浸かっている茎の先端は、傷んだりバクテリアで詰まったりして、水の吸い上げが悪くなります。
切れ味の良いハサミで茎を斜めにカットし、吸水する断面積を新しくしてあげることで、水の吸い上げが良くなります。
さらに効果を高めるには、切り戻しを水を張ったボウルやバケツの中で行う「水切り」がおすすめです。
水中で茎を切ることで、切り口から空気が入るのを防ぎ、より効率的に水を吸い上げさせることができます。
玄関ならではの注意点(日当たり、温度管理)
切り花を長持ちさせるには、涼しい場所に置くのが基本です。
その点、直射日光が当たりにくく、比較的涼しい玄関は、花を飾るのに適した場所と言えます。
ただし、エアコンの風が直接当たる場所は、花が乾燥して傷む原因になるので避けましょう。
冬場は暖房の効いたリビングよりも、涼しい玄関の方が花は長持ちします。
少し元気がなくなってきた時の復活術
少し花がぐったりしてきたときは、「湯あげ」という方法を試してみましょう。
- 花や葉を新聞紙などで包み、蒸気が当たらないように保護します。
- 茎の先端から2〜3cmを、沸騰したお湯に数十秒浸けます。
- すぐさま冷たい水が入った花瓶に深く挿し、数時間から半日ほど様子を見ます。
この方法は、茎の中の空気を追い出し、水の吸い上げを強制的に促す効果があります。カスミソウやマーガレットなどで効果が出やすい方法です。
忙しいあなたへ。無理なく続けるためのアイデア
「花のある暮らしに憧れるけど、忙しくて続ける自信がない…」
そんな方でも、気軽に花を楽しむ方法はたくさんあります。
週に一度の花習慣「ウィークリーフラワー」
まずは「毎週金曜日に花を買って帰る」など、自分なりのルールを決めてみるのはいかがでしょうか。
週末をフレッシュな花と共に迎える習慣は、心の切り替えにもなり、生活にハリを与えてくれます。
ワンコイン(500円)で買えるミニブーケなどから始めれば、経済的な負担も少なく続けやすいでしょう。
頼れるオンラインショップを見つける
「忙しくて花屋さんに行く時間がない」「近所にお気に入りの花屋さんがない」という方には、オンラインのフラワーショップが強い味方になります。
パソコンやスマートフォンから24時間いつでも注文でき、自宅まで届けてくれるので非常に便利です。
特に、季節の特集が豊富で、まるで市場のように新鮮な花を一本から選べるサイトは見ているだけでも楽しめます。
例えば、プロも利用する豊富な品揃えのオンラインストア『FLOWER SMITH MARKET』のようなサイトなら、この記事で紹介した季節の花々はもちろん、ちょっと珍しいグリーンも見つかるかもしれません。
自分だけの特別な一輪を探すのに、ぜひ活用してみてください。
お花のサブスクリプションサービスを活用
最近では、定期的に季節の花を自宅に届けてくれる「サブスクリプションサービス」が人気です。
プロが選んだ旬の花が届くので、花選びに悩む必要がありません。
ポストに投函してくれるサービスもあり、不在時でも受け取れる手軽さが魅力です。
料金プランも様々なので、自分のライフスタイルに合ったサービスを探してみましょう。
生花だけじゃない!プリザーブドフラワーやドライフラワーという選択肢
水替えなどのお手入れが不要なプリザーブドフラワーやドライフラワーも、玄関を彩る素敵な選択肢です。
生花のような瑞々しさはありませんが、独自の風合いと美しさがあり、長期間楽しむことができます。
ただし、風水的には生きた植物である生花が最も良いとされています。
ドライフラワーなどを飾る場合は、ホコリが溜まらないようにこまめに掃除をしましょう。
玄関の花飾りに関するQ&A
最後に、玄関に花を飾る際によくある質問にお答えします。
Q1. 予算はどれくらい考えればいい?
一回あたり500円〜1,500円程度から気軽に始められます。
まずはワンコインで買えるミニブーケや、気に入った花を一輪だけ購入してみましょう。
グリーン(葉もの)を上手に活用すれば、少ない本数でもボリューム感を出すことができます。
花のサブスクリプションサービスも、月額1,000円前後から始められるものが多くあります。
Q2. 虫が心配です。対策はありますか?
花に虫がつくのが心配な方は、購入する際に花びらの間や葉の裏などをよくチェックしましょう。
また、ハーブ系の植物(ミント、ローズマリーなど)には虫除け効果が期待できるものもあります。
どうしても気になる場合は、高品質なアーティフィシャルフラワー(造花)を選ぶのも一つの手です。
Q3. 香りが強い花は避けた方がいい?
香りの好みは人それぞれです。
家族や来客に配慮するなら、ユリやヒヤシンス、スイートピーのように香りが強い花は、好みが分かれる可能性があることを覚えておきましょう。
最初は香りが穏やかな花から試してみて、家族の反応を見ながら選ぶのがおすすめです。
ほのかな香りであれば、玄関を開けた瞬間に心地よさを感じさせてくれる素敵な演出になります。
まとめ:季節の花で、心温まるおもてなし玄関を
玄関に季節の花を飾ることは、難しいことではありません。
一輪の花からでも、あなたの家の印象は劇的に変わります。
花は、訪れる人への温かいおもてなしの心を伝え、住む人の心を癒し、日々の暮らしに彩りを与えてくれる素晴らしい存在です。
この記事でご紹介した選び方や飾り方のコツを参考に、まずはあなたのお気に入りの花を玄関に飾ってみてください。
ドアを開けるたびに心が弾む、そんな素敵な「花のある暮らし」が、きっとそこから始まるはずです。